今回は、定例の「国語」のエピソードからは離れた内容になりますが、ぜひご一読くださいませ。
先日、娘の英検帰りのバスで本を読んでいたら、同じ英検帰りの女子高生二人が、私の後ろの座席でこんな会話をしていました。
「私、今の高校に何のためにいっているかわからない」
「この高校に、これから期待できることが何もない」
「なんでもっと考えて選ばなかったのだろう」
この女子高生たちは、受験した都立高校が不合格になってしまい、併願した同じ私立高校に今年入学した二人のようです。
たまたま英検会場で顔を合わせて、同じバス帰るところ。
高校1年生の前半は自粛期間が多くて、勉強らしい勉強はほとんどやらず、一学期の期末テストでは、中学3年生の時よりも簡単な英語のテスト内容が出題され衝撃的だった、ということ。
高校の英語の授業が始まって
「授業のレベルの低さにおどろいた」
「高校1年の授業で3人称のSの説明をするなんて……」
中学の時は、高校受験に向けて頑張っている子がたくさんいた。
通信簿をあげようと必死に頑張ったけど、上には上がいて、なかなか「5」はもらえなかった。
それでも、部活も頑張ってたし、自分なりにすごく真剣に勉強したつもり。
ただ、高校を選ぶとき、行きたい都立高校のことしか考えていなかったから、併願の私立高校は、学校の先生に勧められるまま、だいたい同じような成績の子が出願する学校に決めてしまった。
先生も親も特に何も言わなかったから、このくらいの学校でいいのかなと。「(併願私立の)学校の場所も受験本番になるまで知らなかったし……まさか通うことになるなんて……。」
コロナの自粛明けに、初めて学校に行って絶望!
授業がつまらない。
緊張感をもてるような魅力的なことが何もない。
中学の時の方が良かった。
「話が合う子がいないじゃん」
一学期が終わるまで、なるべくクラスメイトと話さないようにした。
一学期の通信簿には、「5」が並んでいた。中学ではみたこともない好成績。
でも嬉しくない。
むしろ、学校に何も期待できなくなった。
「私は、大学に行きたいのに、この学校に通ってて、大学受験できるようになるのか。」
大学進学状況の資料をみて愕然とした。
これから、まだ二年半続くなんて、気持ちの整理がつかない。
「どうしてもっと受験する高校のことを調べて、考えて選ばなかったんだろう!」
後部座席で、涙ながらに話している女子高生たちに、自分が読んでいる本の内容が全然入ってきませんでした。
私は、おもわず振り返って
「これで終わりじゃない!あきらめるな!自分で次のステージをつかみ取れ!」と声をかけたくなりました。(もちろん、見知らぬおばさんがそんなことできませんが)
とても複雑な気持ちでした。
そして、アルぺのお子さんたちの顔を一人一人思い浮かべました。
毎年、アルぺでも、中学受験・高校受験・大学受験のお子さんたちを指導しています。
受験への取り組み方、熱量は、さまざまです。
でも、お子さん自身が通う学校について、悔いの無い選択をしてほしい!と心から思います。
そして、自分が選んだ道には、もっともっと覚悟を持つこと。
(これは、受験や勉強のことに限りませんが。)
目標を達成するには、苦しいこともあるのは当たり前。
結果を出すには、続けることしかない!
進路指導をしていて感じるのは、
第一志望は比較的すぐに決まっても、併願校、とくに「滑り止め」と言われる存在の学校については、深く考えないことも(スケジュールで当てはめていく場合も)多い気がします。
「自分のこと」だからこそ、すべてのケースを丁寧に考えるべきです。
そして、お子さんだけで考えるには限界があります。
周りの大人がどんなアドバイスをするのか。
お子さんの思いを共有して、一緒に考えることは責任だと思います。
大人の意見を押し付けるのではありません。
判断する、考える「材料を準備すること」が大人の責任です。
環境が大事!
そして、「やることをやっていなければ、結果は手に入らない!」
人生は一度切り。
失敗してもやり直しはできる。
でも、初めから、もっと考えてみる、もっと準備することで、結果を変えられるのではないでしょうか。
このエピソードを、昨日の中学2年生の授業で話しました。
みんなの真剣な眼差しが印象的でした。
それぞれが「素敵な高校生になってほしい」と心から思いました。
私には、大事なお子さんたちをお預かりしている責任があります。
運命共同体として、全力で臨むのみです!
2020年10月21日
塾長 たかぎ