[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”1.jpg” name=”ご相談者”]小5の娘がいます。
今まで受験は考えてこなかったけど、娘の希望で都立中を目指すことになりました。
都立中は作文が特徴だとよく耳にします。都立中の作文の対策をどのようにすればいいですか?
[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”2.jpg” name=”アルペ記述読解教室長”]お答えします。以下の項目をクリックすると該当部分に移動します。
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●まずは「受験」することについてじっくりと考えてください

まずは、作文の対策のご質問より先に、大前提を確認からされることをおすすめします。

都立中の合格倍率は高い学校では七倍、八倍です(*)。一般的な入試と比較すると高倍率です。
(*)…ご相談時の倍率。

また、一口に「都立中」と言っても、学校によっても校風がかなり違います。
そして、卒業した後の状況(進学実績)もかなり違います。

周りのお友達の環境も違いますし、部活動のメニューも違います。

ですから、いきなり勉強を始める前に、「お子さんが通いたい学校」「保護者の方が通わせたい学校」を真剣に探すことから始めるべきだと思います。

通いたいという明確な意図がなければ、受験勉強は乗りきれません。

●「都立中」の入試は簡単ではありません

誤解も多いのですが、都立中の勉強は決して楽なものではありません。

私立中、都立中を比較した時に、一般的に都立の方が受験勉強が負担がないと思いがちです。しかし、六年生の受験期にかかる負担は一緒です。

むしろ「合格」というものを勝ち取るためのハードさで言えば都立中の方がハードです。なぜなら、

  • 私立中より倍率が高く
  • 学校の通信簿も大きく影響し、
  • しかも私立中受験のような「練習校」や「すべりどめ校」の受検の機会がない

からです。

都立中の受験をお考えなら、都立中の受験対策に覚悟を決めて、本腰を入れて取り組んでください。中途半端な思いでは受験に勝っていくことはできないと思います。

●受験校の検討が第一歩です

受験校を調べるポイントは、噂話しではなく、実際に通っている生徒の声はもちろん

都立中の説明会に足を運び、学校の雰囲気、指導方針などを確認してください

パンフレットやHPだけでは分からない雰囲気が掴めるはずです。実際に学校の先生や校舎の雰囲気を見て「校風が合う・合わない」が分かるだけでも十分大きな判断材料になります。

ご家庭では、お子さんが都立中でどんなことをしたいのか、ということをよく話し合ってください。

本当に熱い思いをもって、ご家族で一丸となって受験への準備が進められるようにスケジュールの調整勉強に関する約束事も決めてください。

このように、行きたい学校のイメージが固めておくことが重要です。

●実際の入試問題を見てみましょう

「さあ、都立中の勉強を始めよう」というときに、その段階でのお子さんの適性をきちんと分析する必要があります。

都立中は国算理社というような科目分離型ではなくて、横断型の適性検査です。
ですが、その国算理社の基礎知識というのがまずベースになって適性検査に臨むことができます。

例えば、算数は5・6年生の小学校の教科書の範囲は逸脱しません。ですが、教科書の内容が完璧でも合格点を取ることができるわけではありません。

小学校の教科書はあくまでベース(土台)です。この土台の上に自由な思考力、発想力、探求心というのがなくてはできません

「計算」もテクニックのような問題はあまり出題されませんが、複数の資料から計算式をつくり桁の多い計算を正確に行う作業は、トレーニングなしでは攻略できません。

まずは学校のHPや書店で過去問を見てみましょう。百聞は一見にしかず、です。

●私立受験のようなマニアックな知識問題は出題されませんが・・・

都立中の試験では「知識問題は出題されない」という意見を耳にしますが、理科・社会の基本的な知識を身につける必要があります。

例えば、社会の場合は日本地理都道府県、特産物、気候や地形の知識、公害問題などの諸問題についてきちんと学ぶ必要があります。

理科も、実験の考察などの問題をやるにあたっては、氷、水などの基礎知識、それから、化学変化の基礎知識のようなものを、まず、ある一定の問題集を使ってインプットすることは必要です。

これは塾に行かなくても、自宅で問題集を使ってやることもできます。そういったものをまずインプットしましょう。

これまで都立入試にも、学校では習わない単元から出題されています。問題文の中で説明されていれば、習っていない単元からも出題することは可能です。

マニアックな知識は必要ありませんが、教科書にある知識は完璧にして、思考の土台を作りましょう。

●都立中の攻略は「独特な形式」に慣れること

インプットの学習とともに、アウトプットが必要になります。

都立中の試験は直接知識を問う問題ではなく、思考力や解答プロセスを見ます。そのため、論述形式がメインになるので、独特な解答形式に慣れておかなければなりません。

五年生の段階で一度、都立中の対策の模試を受けてみる子をお勧めします。お子さんの結果を知り、今後の方針を決めることができます。

●作文の対策は順番が大事です

作文の点数が取れていないお子さんは、作文の対策を始めると思います。

ですが、作文の対策といってもいきなりテクニックを学ぶのはオススメできません。

作文を書く上でのネタ(コンテンツ)が不足しているお子さんは、書く持ちネタを準備する必要があります

例えば、自分の経験談が作文のテーマの時、「書くことがない」とお子さんが困ったり、基礎知識の不足が原因で時事問題をテーマにした作文がかけないということはありませんか。

自分が書きやすい体験談をストックしておく。時事問題に関する知識をインプットをしていく。作文のネタの引き出しづくりをする必要があります。常識の範囲内、普段の生活の中で意識するだけでかなり違います。

●書きたいことはあるけど「上手く書けない」なら

書きたい内容はあるけど、上手に書けない。こういった「作文の形式」ができていないお子さんであれば、やはり、塾などで添削をしてもらって、客観的な指導・評価を受ける必要があります。

例えば、お子さんが癖になっている言い回しを直してもらったり主語述語の不一致を指摘されたり、指導を受けた上で書き直しをします。

それを何度も何度も繰り返していくことで、作文は得意になります。

六年生になったら、出題者の意図を意識した答えを書いていくように点数を取るための特訓に入りますが、五年生のうちでしたら、そこまで意識しなくてもかまいません。

入試の解答というよりも、作文としてのスキルを上げることを徹底して意識して取り組んでいきましょう。

●5年生のうちは形式よりも土台づくりと体験を

まとめとなりますが、

算数、理科、社会もまずは五年生のうちは適性検査型の思考力、知識つくようなインプットを続けていくことが必要です。

五年生の段階でいかにきちんとしたインプットができるかで、六年生で実践型の問題に入った時の伸びが決まります。

そして、常に時事問題を意識してニュースや新聞に目を向けて

  • 自分なりの意見
  • 賛成・反対とその理由
  • 感想

というのを持てるようにしておきましょう。

五年生の段階で博物館に足を運んで、あらゆるものに興味・関心を高めておく、そして、なぜこうなるんだろう、どういう仕組みになっているんだろう、そういった発想を持つということを鍛えておくことも重要な都立に向けての勉強です。

これは家族ぐるみで取り組めることも大変多いですから、ぜひ、ご家族一丸となって、楽しみながら五年生の時期をお過ごしください。時折、模試を受けることで、お子さんの足りないところの分析ができますので、大いに活用していかれると良いでしょう。

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